資金繰り:最強ツール 資金繰り表とは?

公開日:2024.04.10

財務内容や格付けが良くないと融資が受けられないのか?
というと必ずしもそうではありません。 

実は、資金繰り表を作成して銀行に提出することで、例え赤字を計上していても、
担当銀行員から「ぜひ、当行に融資させてください」とお願いされる。

そんなことも実際にあるのです。

 これだけ強力なツールであるにもかかわらず、
なぜか中小企業の9割が資金繰り表を作成していません。
 

せいぜい、銀行から提出を求められたときに、「まあこんなもんやろ」という感じで、
会計事務所が作成する程度で、経営の現場で「経営改善のツール」としては使用されていません。

ここでは、そんな最強ツールである資金繰り表について、解説していきます。

勘定合って銭足らず

資金繰りとは、資金(お金)収支(出入り)のことです。

 

決算書における損益とお金の出入りは違うものです。

 

会計の世界で、損益は意見、キャッシュは現実とよく言われる所以です。

 

損益は、収益と費用で構成されます。
これは実際にお金が入ったり、出たりしなくても計上されます。
(借入金の返済は費用ではないため、損益には反映されません。)

 

資金繰りは、収入と支出で構成されます。
これは実際にお金が入ったり、出たりすることです。
(借入金の返済は現預金で行うため、資金繰りに反映されます。)

 

もし、すべて現金取引をしていれば、損益と資金繰りは一致します。

 

しかし、実際は掛取引・手形取引などがあるため一致しないのです。

 

また決算書では利益が上がっていても、資金(お金)が足りないことがあります。

俗にいう、勘定合って銭足らずです。

 

利益は出ているのに、なぜかお金が減っていく。


主な原因は、売掛金の増加や過剰在庫、過大な借入金の返済等が挙げられます。

 

これが、黒字倒産が起きる理由です。

資金繰り表を作成するメリット

将来の資金収支を把握できる

資金繰り表を作成するメリットは、決算書や試算表の損益計算書では把握しにくい、お金の増減がわかることです。

 

特にいつお金が足りなくなるのか、そのタイミングを
確認できることが大きなメリットです。

 

事業では掛取引や手形取引があるため、帳簿上では利益が出ていても入金が数ヶ月先ということもあり、
現在は手元にお金がないかもしれません。

 

増減を把握せずに、手元のお金が運転資金を下回ってしまうと、事業を続けられません。

 

また、

・資金繰り表から回収できていない売掛金がいくらあるのか

・過剰在庫を抱えていないか
 

なども判明します。

 

お金が足りない原因を特定できれば、適切な対応を検討できるでしょう。

 

お金の流れを資金繰り表で可視化することで、問題部分を早期発見することや現金管理が
可能となるため、倒産予防につなげることができます。

銀行からの融資がスムーズになる

銀行から融資を受けるには、なぜこのタイミングでこの金額の融資を受けるのかを、論理的に説明できなくてはいけません。

 

資金繰り表は、借り入れの必要性(資金使途)と返済見込み(返済財源)を説明する際の材料になります。

 

実績だけでなく売掛金の回収予定についてもまとめておけば、将来の資金計画を可視化して説明できるので、
より説得力が高まります。

お金の足りない原因を特定できる

資金繰り表を作るとお金の流れが分かるので、

 

・本業が赤字

・回収と支払サイトのズレ

・在庫が多い

・借入金の返済負担が大きい

 

など、お金の足りない原因(問題点)が分かります。

 

収入と支出の改善について対策ができるので、資金繰り改善に役立つでしょう。

 

また、今後のお金の流れが予想できれば、資金ショートの可能性を予測し、対策をとることもできます。

なぜ銀行は資金繰り表の提出を求めるのか?

銀行が融資審査で資金繰り表の提出を求める理由は以下の通りです。

 

資金繰り表で返済可能性を確認する

 

融資金額、返済期間、返済財源の妥当性を検証し、
融資可否を判断しま
す。

 

つまり、資金繰り表は銀行に資金使途・返済財源・必要金が金額・時期を説明する際、
強力なエビデンス(裏付け)になるのです。

 

 

また、銀行とのコミュニケーションができている会社は、融資審査に有利になります。

 

銀行としてはその会社の業績や資金繰りの状況を常に把握しておくことができ、銀行から融資の提案をしやすいからです。

 

銀行とのコミュニケーションを良くするにはまず、定期的に銀行と接触することが必要です。

理想は毎月、接触している状態です。

 

銀行に試算表を提出する、資金繰り表を提出する、このような名目であれば銀行と定期的に接触しやすいことでしょう。

 

 

まとめ

お金の有無は経営者の心情にも大きな影響を与えます。

 

現預金が十分あれば、

「しばらくは持ちこたえられる。その間になんとかしよう」という思考が生まれます。

 

そこで、威力を発揮するのが資金繰り表です。

 

「いつ、どれくらいお金が足りなくなるのか」を把握することが、業績回復に向けた第一歩です。

 

お化け屋敷が怖いのは、暗くて見通しが悪いからです。

お化け屋敷の通路が明るくて、まっすぐだったら、何も怖くありません。

 

資金繰り表を作成し、

・足りない金額

・足りない原因

を確認します。

 

徹底した原因の究明とその原因を取り除く改善策を取ることで、会社は変わっていきます。

 

損益(決算書や試算表)も大事ですが、

会社にどのようにお金が入り、出ていくかを集約した資金繰り表は会社経営のキモです。

 

次回から、資金繰り表の構造や作り方を解説していきます。

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