銀行対応きほんのきLesson2:融資の4つの型 編

公開日:2024.04.08

企業が資金調達力を高め、銀行から言われるがままの取引から卒業するには、融資の4つの型(形態)を知ることが重要です。

銀行融資には、以下の4つの型があります。

証書貸付

証書貸付は、企業が銀行と契約書(金銭消費貸借契約書)を交わして融資を受ける方法です。

契約手続は、債務者(企業)が連帯保証人(経営者)が署名・捺印した金銭消費貸借契約書を差し入れる方式が一般的です。

 

証書貸付は、主に返済期間が1年を超える長期融資(運転資金と設備資金)に用いられ、毎月の返済が必要となります。

手形貸付

手形貸付は、金銭消費貸借契約書を作成する代わりに、企業が銀行に約束手形を差し入れて融資を受ける方法です。

手形に記載されるのは、受取人である銀行・支払人である企業(記名押印が必要)・金額・支払期日で、それ以外の契約事項は銀行との取引開始時に銀行と締結した銀行取引約定書が規定する内容になります。

 

手形貸付は、証書貸付よりも手続きが簡便で、印紙税が安くなるメリットがあります。

 

手形貸付が用いられるのは、1年以内に返済期限が到来する短期融資です。
資金使途は運転資金であり、正常運転資金・売上回収までのつなぎ資金、納税資金、賞与資金などが該当します。

 

正常運転資金は売上債権+棚卸資産-仕入債務で表され、6か月以内または1年後を返済期限とする期限一括返済で貸し出され、以降は返済期限が到来する都度、手形を書き換える形で融資が継続されます。

 

正常運転資金を対象に手形貸付の書き換えなどで資金をつないでいく短期融資のことを短期継続融資と呼びます。

短期継続融資の詳細については、Lesson3の資金使途編で詳しく触れます。

当座貸越

当座貸越とは、銀行が融資限度額(極度額)を設定し、その限度額までは自由に借りたり返したりできる融資方法です。

当座貸越契約の期間は1年程度で、契約の更新が必要となります。企業の業績が悪化していたりすると、極度額の減額や契約の解消を求められる場合があるので、注意が必要です。

当座貸越は手形貸付と同様に、短期継続融資の1つであり、資金使途は原則として正常運転資金です。

 

手形貸付では借入の都度、印紙税が必要になりますが、当座貸越では当座貸越契約を最初に締結する際に印紙200円が必要になるだけで、以後、印紙は必要ありません。

手形割引

手形割引は、取引先から受け取った支払期日が到来する前の受取手形を銀行に売却し、資金調達する方法です。

例えば、100万円の受取手形を銀行で割り引き、割引料が1万円かかった場合は、割引料を差し引いた99万円が自社の口座に入金されます。

決算書では、割引料が営業外費用の支払利息・割引料または手形売却損に費用計上されます。

銀行は手形の振出人の信用力を事前に調査して、手形割引の利率を決定します。振出人の信用力が低いと、割引を拒絶されることもあります。

また多くの場合、手形割引枠(限度額)が設定されます。

 

手形割引では、割り引いた手形が不渡りとなった場合、割引を依頼した企業に手形を買い戻す義務が生じます。

まとめ

ここまでの内容をまとめると、以下の表になります。

資金使途 貸出期間 特徴  
証書貸付 設備資金・運転資金 短期・長期

主に長期で用いられ、
毎月返済が必要となる

 
手形貸付 運転資金 短期 短期継続融資の場合、半年ないし
1年ごとに契約を更新
 
当座貸越 運転資金(原則) 短期 当座預金のマイナスを補てんする形式
利用の難易度が高い
 
手形割引 運転資金 短期 不渡りが発生すると買い戻しが必要  

融資の型と資金使途は必ずリンクします。
 

融資の型と資金使途のミスマッチは企業の資金繰りを圧迫し、場合によっては経営破たんという事態に至ることもあるかも知れません。

 

融資の4つの型と資金使途は、銀行から言われるがままの取引から卒業するために、
経営者に必須の知識です。

 

銀行対応きほんのきLesson3では、資金使途について詳しくお伝えします。

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